有限会社藤建、更新担当の中西です。
~規格~
私たちが日常的に見かける道路脇の「ガードレール」。ただの白い柵のように見えるかもしれませんが、実は緻密に設計された“命を守る装置”なのです。その設計・設置には、国土交通省が定める厳格な規格が存在しており、道路の種類や用途に応じて細かく分類されています。
ガードレールの規格について、その背景や実際の設計基準を深く掘り下げていきます。
1. ガードレールとは何か?目的と機能
ガードレールは、「防護柵」とも呼ばれ、主に以下の3つの役割を担っています:
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車両の逸脱を防止する
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歩行者や施設を守る
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事故時の衝撃を緩和する
つまり、単なる“柵”ではなく、事故のダメージを抑えるための安全設計部材なのです。
2. ガードレールの種類と分類
ガードレールは設置場所や用途に応じて、次のように分類されます。
■ 一般道路用(都市・地方道路など)
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A種・B種・C種などに区分され、強度や衝撃吸収性能が異なる
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一般的な「白い波形鋼板」タイプはA種規格が多い
■ 高速道路用(NEXCOなどの管理下)
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より高い衝突エネルギーに対応するH種・SB種(セーフティバリア)
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トラックやバスの衝突にも耐える高強度設計
■ 歩行者用・自転車用
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胸の高さに設置される「横断防止柵」や「転落防止柵」
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子どもや高齢者の安全にも配慮した設計
3. 国土交通省による設計基準(代表的な規格)
国土交通省の「道路土工 構造物設計便覧」や「道路防護柵設置基準・同解説」などにより、以下の項目が詳細に定められています。
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高さ:通常700〜800mm(用途により変動)
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支柱の間隔:通常2.0〜4.0m
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鋼板の厚み:2.3〜3.2mm(耐衝撃等級により選定)
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耐久性・耐腐食性:溶融亜鉛メッキなどで処理
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設置条件:カーブ半径、勾配、視認性の確保など
これらの基準に適合していないガードレールは、法的にも設置が認められません。
4. 進化するガードレール:新素材・新技術の導入
近年では、
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高吸収性素材(ポリウレタン樹脂など)
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視認性向上のための反射シート・LED内蔵
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景観配慮型(木調、透明アクリルパネル付き)
といった技術も導入されており、ガードレールは**“安全性+都市デザイン”の要素も担う存在**へと進化しています。
規格の理解が「安心の現場」を支える
ガードレールは、設計・施工・保守まで含めて専門的な知識と責任が問われる分野です。見た目は地味でも、道路インフラを支える縁の下の力持ち。規格を理解し、正しく設置されてこそ、社会の安心が成立します。
